テクノロジーと政治:Politics2.0を通して感じた『違和感』

取材・対談

Politics2.0の流れ

2018年7月11日、新進気鋭の政治系ベンチャーPoliPoli、そして視覚的な発信を行っているPOTETO、そして毎日新聞が主催する「Politics2.0」が開催され、筆者も会場へ伺った。

会場には若者、一見するに10代後半~20代前半の参加者が大半を占めていた。「政治系」のイベントにおいて、ここまで若者の集また政治系のイベントは、そこまで数が多くはないのではないだろうか。

会はPoliPoli代表の伊藤和馬さん、POTETO代表の古井康介さん、そしてゲストの政治家が、フランクな形でパネルディスカッションを行う形式で進行された。

第一部『石破茂代議士×PoliPoli伊藤さん×POTETO古井さん』

第一部では、自民党衆院議員の石破茂氏が招かれ、PoliPoliが開発したアプリケーション「PoliPoli」や会場から寄せられた質問に、石破氏を中心として回答を行っていた。「石破氏はなぜ地方創生に関心があるのか」「日本がニュークリア・シェアリングを行う際の課題は何か」といった質問が投げかけられていた。

特に「若者の政治参加」に関して石破氏は『民主主義は一人でも多く参加することが肝要。参加する際には、できるだけ多くの知識を持つことが大切。』、加えて『若者が参加しなければ、あとの世代への”ツケ”が増えるだけ。若者と高齢者という二項対立で考えるのではなく、高齢者のために若者が、若者のために高齢者が何を出来るか考えることが大切。』とといった趣旨の発言があった。

第二部『平将明代議士×玉木雄一郎代議士×PoliPoli伊藤さん×POTETO古井さん×喜多恒介さん』

第二部では、自民党衆院議員の平将明氏、国民民主党衆院議員の玉木雄一郎氏が招かれ、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科の喜多恒介さんが進行を務めた。このセッションの冒頭では、平氏、玉木氏の政治家としての生い立ちに関するストーリーが語られた。

テクノロジーを政治の現場に如何に持ち込むか、といった問いかけに対しては『地方自治体がICO(注:Initial Coin Offering 新規仮想通貨公開)を行うなど、現代社会における課題をテクノロジーで解決に導く』『明治維新150周年、中央集権化の150年、地域分散化、各藩が機能を代替しうる。アイデンティティの地域への収斂。新しい文明論をテクノロジーが支える。』(玉木氏)、『次の選挙はインフォグラフィックや動画がフル活用されるのではないか』『自民党は次の国会のデジタル・ガバメント法案を提出する。マイナポータルを通しての行政手続きが可能になる』(平氏)といった発言があった。

また、SNS上の意見表明に関しては、『”売国”と”反日”という気持ち悪い世論形成』(玉木氏)『与党は国家権力として、ダイバーシティに、インクルーシブに異なる意見を取り込んでいくことが重要』(平氏)といった、先鋭的な言説に対する慎重な評価もなされた。

若者の政治参加に関しては『(参院の被選挙権年齢を)30歳から25歳に下げたら、自民党として30歳以下の候補者の公募枠を設置したい』(平氏)地方議会に若手が立候補すべき』『国民民主党として、いくつかの選挙区を○○歳に出てもらいた選挙区として設定するなど、若者の政治参加を制度的に推し進めていきたい』(玉木氏)といった発言がなされていた。

私自身が覚えた”違和感”

会の盛況さの一方で、私自身は一抹の違和感を覚えざるを得なかった。『政治家ー主(有)権者』という”線”に可能性を見出すことそれそのものは重要性はともかくとして、その”線”に囚われ過ぎている印象を受けた為だ。

そもそも、『18歳選挙権』や『18歳成人』といった、デジタルネイティブ世代である若者の社会参加を促す政策が昨今展開されている背景は、若者世代が社会の中で『影響力を発揮すること』への期待であろう。『影響力の発揮』とは、ただ単に『選挙に行くこと』ではない。様々な政策決定や意思決定の場において、若しくはそれに付随する場において、制度論から言えば『決定機関における年齢の偏りを埋める』為の方法として、政策論から言えば、『より長期的視野を抱合する』為の方法として、若者が意見を表明することが求められているからこその、政策変更であったのではないだろうか。

若者に限らない国民が、”受動的な主体(=選挙における有権者)”としてではなく、”能動的な主体(政治的な主権者)”として、(勿論最終的な国民的な意思決定は”選挙”であるべきであるが)より一層『活発的な』主権者として、テクノロジーを上手く活用することが求められる時代に成りつつあるとも指摘出来る。

米国のトランプ大統領や中華民国の蔡英文総統、勿論我が国の安倍晋三首相と言った『政治的リーダー』がインターネットを活用している現代社会において、テクノロジー、特にインターネットの活用方法がただ単に『政治家への意見の集約ツール』であることは、非常に勿体無い。政治家への陳情の焼き直しとしてではなく、よりダイナミックな方法で『権力』に影響力を発揮し得るツールとして、テクノロジーが活用されることを期待したい。

勿論、PoliPoliやPOTETOで活躍される諸先輩方には、『政治の枠組み』を変えるのではないかという期待を隠せないことは言うまでもない。

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