国会審議を解説しながら生放送をするアイデアの懸念事項(メモ)

今般の通常国会においても、予算委員会の審議が盛り上がりを見せています。新型コロナウィルスを巡る審議、あるいは米国・中国をはじめとする国際関係、あるいは森友問題に関する新たな追究…。本稿では、各テーマについては言及しませんが、立法府における議論は、私たちの生活にも関わるものですから、本来は非常に重要なものです。

一方で、立法府での議論は、私たちにとっては疎遠になりがちです。勿論、NHKによるテレビやラジオ中継を通した国会中継、あるいは衆議院・参議院のインターネットを活用したストリーミング放送も行われていますが、私たちが日常的にそれらを視聴することはほぼないのではないでしょうか。仮に、視聴したとしても、現在行われている国会審議に関連するコンテンツは、ただ単に会議風景が放映されているだけで、必ずしも「見やすい・分かりやすい」状態にあるとは言えません。

国会審議を「見やすい・分かりやすい」コンテンツにする為に、例えば『国会審議に解説をつけてストリーミング配信を行う』というアイデアを出すとしましょう。

スポーツ中継の様に、あるいは選挙の開票速報・特番の様に、画面の中で起こっていることの解説を行うことは、視聴者の理解促進に繋がりますし、ある種のゲーム的要素が加えられることで、(現在存在する国会中継と比較すると相対的に)「見やすい・分かりやすい」コンテンツになる可能性は高いでしょう。

そして、このアイデアは、技術的には一切の困難なく実現できます。配信を行うプラットフォームがYouTubeにせよ、ニコニコ生放送にせよ、ラップトップ端末が1台あれば最低限のクオリティながらコンテンツとしては成立しますし、キャプチャボード・ビデオカメラ・マイクなどを用意できれば、非常に(画質・音質等の)クオリティが更に担保されることになるでしょう。

しかしながら、このアイデアはグレーであると言わざるを得ません。著作権法第40条では

第四十条 公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)– https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048

と定められており、著作権が制限される事例として、政治上の演説に関する規定が設けられています。また、日本国憲法では『会議公開の原則』が定められている(第57条)ことからも、審議映像に編集等を加えない限りにおいては、映像をYouTube等で公開しても免責される可能性は少なからずあると言えるでしょう、

一方で、衆議院及び参議院のインターネット中継を提供する公式のサイトでは、両院のサイト共に二次利用を制限することを意図する文言が並んでいます。

このホームページの著作権について
「衆議院インターネット審議中継」に掲載されている個々の情報(文字、写真、映像等)は著作権の対象となっています。ご利用にあたっては、著作権法の範囲内でご使用ください。

衆議院インターネット中継 著作権・リンク・登録商標について – http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=CR

よくある質問

その他

Q29 : 映像を保存して後日視聴することはできますか?
参議院インターネット審議中継は、参議院の審議映像をストリーミング方式で視聴していただくために配信しております。 このホームページで公開しているデータを直接ダウンロードすることや本ホームページ以外で公開することは、ご遠慮願います。

Q30 : 映像を保存して自分のホームページで公開することはできますか?
参議院インターネット審議中継は、参議院の審議映像をストリーミング方式で視聴していただくために配信しております。 このホームページで公開しているデータを直接ダウンロードすることや本ホームページ以外で公開することは、ご遠慮願います。

参議院インターネット審議中継 よくある質問 – https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php#category99

これらの文言を検討すると、少なくとも衆議院・参議院が提供するインターネット審議中継を利用した「解説生中継」はグレーであると言えるでしょう(国民の税金に拠って運営されている国会の映像データの利用を「遠慮」しなければならない、というのも変な話ですが…)。

このグレーゾーンを回避する方法としては、国会審議を視聴している様子を(国会審議の映像・音声を入れずに)配信する視聴同時配信が挙げられるでしょう。しかしながら、「見やすい・分かりやすい」コンテンツからは改めて遠ざかることになります。

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