日本の地方を歩いて思うこと

コラム

いろいろな用事があり、函館にしばらくの間滞在していたのですが、オンライン環境さえなんとかすれば、比較的のんびり帰京できることを思いつき、函館から青森、八戸、久慈、宮古、盛、気仙沼を経由する旅路の途中です。この時代、どの都市でも適切に3密回避等、新型コロナウイルス対策をしながら、いわゆる「ワーケーション」をすることは実に容易です。

少々前に、ワーケーション批判が突如SNSを中心として湧きました。ワーケーションがWorkとVacationの造語であることからも分かるように、ワーケーションとは、「旅行の最中でも仕事をしなさい」ということではなく、働き方改革・(日本人の)休息の取り方改革の文脈も交えながら、日本の地方(自治体)でどのように関係人口を創出するか、という非常に野心的で壮大なプロジェクトであると私自身は考えています。故に、2016年頃から、一部の自治体を中心に積極的な取り組みを進めて来たものと認識しています。

新型コロナウイルスを巡る災禍は、様々な課題を浮き彫りにしました。特に、都市部と地方の格差(=都市部への一極集中)という課題は、日本で暮らす私たち一人ひとりが真正面から考えなくてはならない課題でしょう。確かに、ふるさと納税のように、各自治体が持つ「資源」を活用し、それらが互いに切磋琢磨することで、地方創生を図るという方策も、1つの方法論であることは否定しません。何より、ふるさと納税によって、多大な恩恵を享受している自治体が多くあることも事実です。

しかし、ふるさと納税のような「競争」のみを地方創生の主軸としてしまうと、確実に自治体間の格差が広がります。そこで、様々な文脈で持たざる自治体を国・国民としていかに支えていくかという視点が重要になると考えています。だからこそ、ワーケーションのように、関係人口を増やそうとする取り組みは、積極的に協力していきたいですし、例えばGoToキャンペーンを活用して、地域にお金を落とすことも重要になります。それらのみならず、法制度の側面から、地方分権の推進、あるいはあくまでもアイデアの1つですが、消費税の地方税割合の増加なども検討されるべき事柄やもしれません。

私たちの社会を構成する一人ひとりの、誰かのふるさとを守ることこそが、地域を守り、この国を持続させていくことに繋がるはずです。東京をはじめとする大都市の視点のみで、日本の地方を語ることが無いように、これからもなるべく「私たちのふるさと」にも足を運び続けたいと思います。

青森・八戸市:地元紙「デーリー東北」に併設される地元名産品を扱うカフェ
岩手・久慈市:2013年に放映された朝ドラ「あまちゃん」が今でも重要な観光資源
岩手・宮古市:観光客向けの飲食店などのマップ
岩手・大槌町:2016年に訪問して以来。高い堤防がおおよそ完成。
宮城・気仙沼市:商業施設「ムカエル」(手前)と「気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ」(奥)

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