若者政策推進議連の発足を受けて

コラム

若者政策推進議員連盟とは

つい先日、この様なニュースが飛び込んできた。

https://mainichi.jp/articles/20180501/k00/00m/010/100000c

記事の中でも述べられている様に、国政レベルでいわゆる「若者政策」を推進しようという動きが表面化しつつある。この事柄そのものは、若者政策に関係するフィールドで活動を行っている私自身も素直に歓迎したい。

そもそも、この議員連盟のベースの1つとして考えられるものに、昨年(2017年)に自民党内で若手議員が中心となって立ち上げた「若者の政治参加検討チーム」が挙げられるだろう。今回の議連発足に際しても中心的な役割を果たしている鈴木隼人代議士が立ち上げたこのチームは、2017年11月に『「若者の政治参加検討チーム」提言』と題する総合的な政策提言を行っている。

この提言においては

・インターネット投票の実現を始めとした投票環境の向上
・主権者教育の更なる推進
・被選挙権年齢の引下げを始めとした若者の意思決定への参画
・若者の投票率向上に向けた普及啓発
・若者政策を推進するための体制整備
・これら全体の取組を加速させるための「若者政策推進基本法」の制定 (アゴラ 2017.11.23 「若者政策推進基本法」実現に向けて より抜粋)

といった軸が定められていたが、これらの軸が、今回の議連のが目指す方向性のベースとなっていくことは想像に難くない。(尚、提言内容に関しては、部分最適的な解決策の提起に留まっており、十分と言うことができる内容では無いものの、今回の記事では言及しない)

また、この議員連盟の特徴として、「若者が運営の主体を担う団体(以下:若者団体)」から意見を聴取する枠組みを整えていることにあるだろう。若者団体は申請を行うことで、その枠組みに参加をすることができる。詳細が明らかになっていない為、憶測の域はでないものの、枠組みに参加する若者団体と議員連盟に参画する議員との双方向的な情報交換を目的としているのだろう。

加えて、日本若者協議会という団体が、この若者政策推進議員連盟の事務局を担うことも発表されている。

関係性を明らかに

ただ、一連の流れに関して、不安を覚える点がある。それは、「若者政策推進議員連盟」、「日本若者協議会」そして「意見聴取の枠組みに参加する若者団体」の関係性が余りにも不明瞭であることだ。

日本若者協議会はそのホームページで謳っている様に、「欧州各国等で見られる「若者協議会(youth council)」をモデルに、若者の団体や個人が政党や政府へ直接を届けるための仕組み作り」を目的としている団体である。

Youth Councilの代表例として真っ先に挙げることが出来るのは、スウェーデンにおけるLSUであろう。LSUはスウェーデンに存在する若者団体のいわば「傘」として、傘下にある若者団体の様々な意見を集約し、政府機関に対してLSUが若者の代表として政策提言を行っている。

https://seitokai.jp/archives/2607

このモデルを考えた際、若者の傘団体(=LSU)と政府機関はある意味でカウンターパートとして機能をしていると評価することが出来る。カウンターパートとして、政府機関と若者代表が対等な存在であるからこそ、「若者の意見」が一定の影響力を保持し、結果として若者の社会参加に繋がっているのではないだろうか。

このことを検討した際、日本若者協議会が欧州的な枠組みの構築を目指すのであれば、現状は非常に適当でないと評さざるを得ない。

若者政策推進議員連盟が、枠組みに参加した様々な若者団体のカウンターパートとして、若者の意見を代表して政策立案を行うのだろうか。それとも若者政策推進議員連盟に参加する各議員自身の政策立案の過程で、諮問機関として枠組みに参加した様々な若者団体を活用するのだろうか。

前者であれば非常に先進的な制度設計である一方で、後者であれば、従来の政策立案過程と何ら相違はないものとなってしまうだろう。だからこそ、日本若者協議会には「若者政策推進議員連盟」、「日本若者協議会」そして「枠組みに参加する若者団体」の関係性を明らかにして頂きたいと考えている。

おわりに

いずれにせよ、若者の政治参加を更に推し進めようという動きが国政レベルで表に出てきたことは、非常に喜ばしい事である。今後、「若者の政治参加」が政争の具とならず、超党派からの幅広い理解を得ながら、着実に進展を見せていくことを心より願うばかりである。無論、私自身も、様々な角度から、「若者の政治・社会参加」に寄与していきたい。

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