自治体議員に聞く!『若者の政治参加』インタビュー4:自由民主党・鈴木太郎横浜市会議員

取材・対談

Q4.「若者の政治参加・参画」に際して、政党ないしは政党青年部が果たすことが出来る役割は何だとお考えでしょうか。鈴木議員ご自身のご見解をお聞かせください。

栗本)それでは問4の方に移らせていただきます。例えば、学校現場に議員が出向くなどといった事例が少しずつ出てきております。若者の政治参加や主権者教育に際して、自治体の議会、あるいは自治体の議会議員の皆さんが果たすことのできる役割というのは何かお考えはございますか。

鈴木さん)そういった接点を持つことじゃないですかね。議会ないしは議員が、高校生に限らず中学生とも接点を持つことじゃないかなと思いますけどね。ただ、現実問題としては学校の方がそういった取り組みを拒否するケースが多いんじゃないかなと思いますけどね。こちら側がそういうアプローチをしようとしても、実現するかというと全然別の話になってくるんじゃないかなと思うんですよね。

栗本)「政治的中立性」は学校にとって、非常に大きな問題になっています。例えば超党派の議員さんが学校に赴いて何かパネルディスカッションの様なものをやるという話があった場合に、鈴木先生は赴きたいと思いますか。

鈴木さん)もちろんもちろん。

栗本)そのお考えの背景にはどういった思いがございますか?

鈴木さん)若者に限らず、地方議会では何をやっているのかわからないという事が一般的な話なので、そういった機会があれば少しでもイメージを持ってもらえますよね。その事で、地方議会そのものの、認知度を高めていくことにもなるし、多少なりとも現場の活動への理解に繋がるんじゃないかなと思っています。

栗本)わかりました、ありがとうございます。

Q5 現行法上、公職選挙のうち、都道府県知事及び参議院議員の被選挙権年齢は30歳、その他公職選挙に関する被選挙権年齢は25歳とされています。被選挙権年齢の引き下げに関して、鈴木議員ご自身のご見解をお聞かせください。

栗本)現状、被選挙権年齢は地方議会で25歳、知事で30歳と定められています。特に、昨今は自治体議員のなり手のいない問題が非常に懸念されていますし、事実今般の横浜市会選挙でも、とある選挙区では無投票選挙がありました。そうした事柄も踏まえながら、今後被選挙権年齢を引き下げることは検討に値するのかしないのか、そういった背景などについてもお伺いしたいと思います。

鈴木さん)あまり考えたことがなかったから、分からないですけれども、どうですかね。少なくともこれは、なり手不足の話とはあまり関係ないんじゃないのかなと思いますけれどもね。

栗本)これは仮定の話に過ぎませんが、例えば22歳で大学を出まして、22歳の仕事を見つけて。仮に政治に関心があったとしても、20代の間は仕事にのめり込んでしまって出られないという話はないわけではないと思うんですよね。少なくとも私自身の周りには一定数そう言った考えを持っている者も一定数おります。そこで、被選挙権年齢を引き下げると、様々な大学生・大学院生の進路における選択肢の一つに「地方議員になる」ということも出てくるのかなと。横浜市の場合は別ですけれども、地方に行けば行くほどいわゆるUターンですとか、仕事の受け入れ手がないという問題もございますので、そういったことも考えますと、被選挙権年齢を引き下げるのは面白いのではないかと思っているのですが。

鈴木さん)そんなに大学生で議員をやりたい人いる?僕は地方議員になりたいという人にほとんどあった事ないんだよね。加えて、うちの事務所は10年くらいインターンシップを受け入れていますけれども、政治家志望の人はゼロです。

栗本)インターンを受け入れているとおっしゃっていましたが、政治家志望でないとすれば、参加している大学生のモチベーションはどういったところにあるんですか?

鈴木さん)参加しているモチベーションは、色々なパターンがあります。一つは、大学には入ったけれど何か熱中してやっているものがないので、「何かやらないと」と思ってインターンシップを探している時に、友人から「こういうのがあるよ」と誘われたといった、一定期間をそれなりに充実して過ごしたいというパターンのモチベーション。それから法学部の学生によくあるパターンが、「法学部に入って勉強はしているんだけども、政治のことは全く分からない、けれどもこのまま法学部を卒業してしまっていいのだろうか」と思って、現場を見てみようというものですね。そして、将来公務員になりたいので実際の現場を見たいけれども、自治体、省庁含め、行政サイドのインターンシップの期間が短かったり、倍率が高かったりして難しいので、敢えて議会側から見てみたい。といったところですね。

栗本)改めてにはなりますが、将来的に政治家になりたい方はほとんどいらっしゃらない…?

鈴木さん)いません。だから、「政治家になりたいけど卒業して3年間がどうのこうの」というのは、少なくとも僕が今までのインターン生を見ている感じでは想像がつかないです。

栗本)被選挙権年齢引き下げに関してのお考えは特段ないということですか。

鈴木さん)そうですね。ちょっと考えたことがなかったので。

栗本)承りました。

Q6 主権者としての意識を涵養する為には中学校・高等学校における模擬選挙の実施、生徒会活動の活性化、「若者議会」の実施なども重要とされています。鈴木議員ご自身が何かご見解をお持ちであれば、お聞かせください。

栗本)最後の質問になりますけれども、主権者教育ですとか、あるいは模擬選挙や若者議会といった様に、日本各地に様々な事例があります。これは鈴木先生ご自身が横浜市会などで何か取り組みを進められるご予定はありますか。あるいはご予定そのものが無くとも何かお考えがあればお伺いしたいです。

鈴木さん)予定はないですけど、これは皆さんの様な方々や団体と一緒に出来たらなと思いますよ。更に政治に現実感持ってもらう為にはどうしたら良いのかという事は考えていきたいですよね。

栗本)是非ご一緒させてください。

鈴木さん)教育に関しては学校側の問題の方が大きいと思います。特に先生の皆さんにジレンマがありますよね。ここ数年は、選挙権年齢が18歳に引き下がったので、学校には、主権者教育をやらなきゃいけないというプレッシャーがある一方、やはり教育というのは政治から離れた中立のところに無ければいけないという思いもある。だから『主権者教育は大切だけれども、政治家は入れたくない』という状況にある訳ですよ。だから団体やNPOの活躍の場があるということになるんだけど、本物が来ないと、なかなか現実感がないことも事実だろうと思います。その辺をどうしていくか、考えていかないと思うんですけどね。

栗本)団体・NPOのみならず、政治家の皆さんに学校の現場に入って頂くことも重要である事は間違いないと思います。

鈴木さん)もう一つ言うと、「地方議員が何をやっているのかというのが分からない」からこそ、世間全般からは(地方議員を)政党としてみる感じが強いんですよね。例えば僕だったら自民党の政治家としてみられると思うんですよ。

栗本)特定の議員に関して知っている事は肩書・属性だけ、という事もありますよね。

鈴木さん)だから、政治家が例えば学校に入ってくるとなると、「自民党として何か主張しに来たのだろう」という風に思っちゃうわけですよ。実際問題、地方議員個人の政策的な主張と、政党という枠組みは別の話かなと思うんですけどね。若者以上に大人の意識の方が問題かもしれないよね(笑)

コメント

タイトルとURLをコピーしました