インターネット選挙運動の沿革4:民間の後押しを受け進んだ緩和

コラム

そして、2012年12月の衆議院総選挙[1]によって、民主党が下野し、自民党が政権に返り咲いた事で事態は大きく動く事となる。同総選挙の直後に自民党・安倍晋三総裁が「次の選挙までにネット選挙は解禁すべきだ」と発言 [日本経済新聞 2012]したことから、ネット選挙解禁が政治日程の俎上に上がることとなった為である。

この発言の背景には、選挙活動には用いることができなくとも、インターネット誕生当初には想定されていなかったFacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やYouTubeに代表される動画配信サイトなどを自民党が積極的に活用し、支持率の向上に一定の効果があると認識していたことが挙げられるだろう[2]

この発言を基に、与党である自民党・公明党は年明け・2013年1月から公職選挙法改正に本格的に乗り出した。自民党部会・与野党間協議を通して、「なりすまし」に対する罰則などに関する議論が展開された。この改正に関しては、前述の背景もあり、民主党やみんなの党も好意的な態度を示していたものの、Web上のバナー広告や電子メールの選挙活動への利用を巡って一時自民・公明両党・維新の会と民主・みんな両党の間で一致が見られなかった。しかしながら最終的には自民・公明党案に民主・みんな両党の主張に配慮する附則を盛り込むことで民主・みんな両党が妥協、衆参両院で全会一致の上で可決・成立となった (日本経済新聞 2013)。


[1] 第46回総選挙 2012年12月4日公示、2012年12月16日投開票

[2] 現に自民党は2009年の下野を契機に、将来的な政権奪還を見据え、インターネットを用いた政治活動に力を入れていた。下野後に登場したJ-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ) (新藤義孝事務所(自民党) 2010)のみならず、電通等を巻き込んだ広報戦略、ないしは平井卓也衆院議員を中心とするネット活動推進の為のタスクフォース“Truth Team”などがその代表例である [宮田啓司 2016]

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