国政政党・会派に聞く!『若者の政治参加』インタビュー3:公明党・高瀬ひろみ参院議員

取材・対談

Q5 現行法上、公職選挙のうち、都道府県知事及び参議院議員の被選挙権年齢は30歳、その他公職選挙に関する被選挙権年齢は25歳とされています。被選挙権年齢の引き下げに関して、党としての、また高瀬議員ご自身のご見解をお聞かせください。

栗本)公職選挙に関しまして、県知事および参議院議員は、被選挙権年齢が30歳以上、他の公職選挙については被選挙権年齢が25歳とされている中で、今後被選挙権年齢はどういった形にしていくのが理想と考えますか?

高瀬さん)被選挙権年齢の問題は私たちも青年局や学生部でよく議論します。やはり(選挙権年齢が)18歳に引き下がったのであれば、それに伴って被選挙権年齢も引き下がるのは当然だと思います。これは、党としてではなく私個人の意見ですけども、全てを25歳に統一した方がいいのではないのかなと考えています。

栗本)国政レベルでは衆院・参院間の年齢ギャップを埋めるということになりますね。

高瀬さん)もちろん参議院の特質として、30歳という年齢の制限があるとは思います。ただ、今は若い方でも起業される方もいらっしゃる様に、必ずしも「30」という数字にこだわる必要はないのかなと。引き下げの議論があって然るべきだと思います。また、被選挙権年齢が引き下がることで、若い皆さんの関心というのもおそらく上がっていくと思うので、そういった側面からも議論すべきことかなと思いますね。

栗本)25歳から更に下げるという議論はまだ盛んではない感じですかね。

高瀬さん)青年局ではそこまでの議論はしてないですね…。

栗本)あくまでも、現状のギャップを埋めるというのが基本的なスタンスなのですね。

高瀬さん)そうですね。選挙権年齢が18歳に引き下がったので、それに伴って25歳でいいのかということ自体を議論する機会はあります。

栗本)ただ具体的な数字では議論はされていないと。

高瀬さん)はい。まだですね。

栗本)選挙権年齢に関して、議論のための議論になりますが、「18歳では高すぎる」といって16歳、あるいは中学校卒業の15歳まで引き下げるべきだという意見もあります。あるいは「いやもっと選挙権年齢を高くすべきだ」という意見も巷ではありますけれども、そういった意見に関して何かご見解があれば。

高瀬さん)成人年齢を18歳に引き下げることについて議論している際に高校生とお話をしていると、「18歳の成人というのはあまり好ましくない」という意見が多かった事実があります。この事を考えると、選挙権年齢に関しても、18歳から更に引き下げるというのは現実的ではないのではないでしょうか。かといって、少子高齢化で若い方のパイが小さくなる中で、その方々が意思決定をしていただく機会を増やしていく為に、18歳に選挙権年齢が引き下がった訳ですから、改めて選挙権年齢を引き上げることは妥当ではないなと思います。

シルバーデモクラシーについて

栗本)いま少し触れていただきましたけれども、いわゆるシルバーデモクラシーと言われるような現状がある中で、公明党さんあるいは高瀬先生ご自身はそういった現象をどう捉えていらっしゃいますか。

高瀬さん)世代的なものもあると思うんです。やっぱり今のシルバー層の皆さんは、戦後の大変な中で日本社会を創ってくださった方々なですよね。長い間日本社会の変遷を見てこられた方々なので必然的に関心が高いんだと思います。

栗本)まさに高度経済成長を担われた皆さんだと思います。

高瀬さん)一方で、私の世代を含めた「今」の世代は日本が経済発展を遂げている世代で、一億総中流と言いますか、経済的にも社会的にも安定した中で育ってきた世代でもあるので、シルバー世代との間で政治に対する目の向け方が違って来ることも否めない部分があると思うんですよね。

栗本)経済的・社会的に安定している中で、政治に関心を持つ必然性は必ずしもない気も致します。

高瀬さん)ただ、日本は今まで平和でやってきましたけれども、少子高齢化の中で日本の財政状況をどうするんだという議論もありますよね。世界各国の「ポピュリズム」という流れがある中で、日本の若い方々についても政治参加をしていただく必要は絶対的にあると思います。だからこそ、私たち側が、若い方々に政治に目を向けてもらう努力をしないといけない。だからこそ、他の党がどうであれ、若い方の為の政策を私たち公明党が明確に打ち出していく必要があると考えています。

栗本)政治側が若者への姿勢をしっかりと示した先に、若者の関心が生まれるという事ですね。

高瀬さん)公明党は、今夏の参議院選挙の際に公約を出しますけれども、その中で私たちが強い思い入れで入れたものが幾つもございます。その様な項目をしっかりと出して頂き、若い方々に「こういうことを公明党はやってくれているんだ」と見て頂く事が、政治への関心を引き出すきっかけにもなります。若い方が政治に参加しないから、若者の政策が進まないのではなく、若者の政策をしっかり打ち出してやっていく中、若い方に関心を持って頂くという方法で、私達はやっていきたいなと思っています。

Q6 主権者としての意識を涵養する為には中学校・高等学校における模擬選挙の実施、生徒会活動の活性化、「若者議会」の実施なども重要とされています。高瀬議員ご自身が何かご見解をお持ちであれば、お聞かせください。

栗本)主権者としての意識を改善するためには、もちろん従前の主権者教育のみならず、模擬選挙ですとか、あるいは生徒会活動の活性化、若者議会のようなものの実施が重要と言われておりますが、何かそれに関してご見解があればお願いします。

高瀬さん)例えば模擬選挙や模擬討論会といったものが、増えているというのは事実だと思いますし、更にどんどん広がっていくといいなと強く思います。ただ一方で、学校現場にいろんなものが下りていく中で、先生方にあれもこれも「やってください」と放任となっているのも事実なので、私たちも工夫していかなければいけないと考えています。また、私たち公明党は、学生の皆さんを含めた政治に関心のある方々との交流を積極的に図っていますので、引き続きそういう活動に取り組んでいきたいと思います。

栗本)特に学校における取り組みに関してですが、「政治的中立性」の観点から、リアルな政治を扱う事に対する相当な忌避感がある様に感じています。勿論、政治的に中立である事は、公教育の大前提だと思いますが、制度のフレームだけを教えて中身を教えないという事とは本来異なると思います。「政治に触れない」事が「政治的に中立である」事になってしまっている現状に、個人的には課題感を覚えています。

高瀬さん)何か具体的な事例がありますか?

栗本)一部の学校における模擬投票が際たる例だと思っています。例えば、歴史上の人物に投票するという、あまりにも現実離れした模擬投票を行なっている事例も散見されます。あるいは、高校3年生向けの模擬投票であったとしても、架空の政党の架空の候補者に投票する形式を取っている場合もあります。勿論、投票するという観点からは良いのかもしれませんが、公約を見比べて、政策を見比べて…というプロセスが実際のそれとかけ離れている事を考えると、有効なのかと疑問を覚えることもありますね。

高瀬さん)確かにその通りで、選挙のフレーム、例えば「衆議院でこういう風に選挙区や比例区があります」という知識のみに基づいて模擬投票をやったとしても、政策を見比べてマニュフェスト見比べて、どの政策をいいと思うのか。その候補者が通った後にどこからお金を引っ張ってきて、どういう風に議会内で合意をつくって、どうやって実行していくんだという、当選した後の流れを考えることにはなりませんよね。本来であれば、そこも含めて教育しなければいけないんだろうなと。

栗本)まさに、高瀬さんが仰る通りだと思います。

高瀬さん)現状、選挙でポスター見て、「この人!」と選ぶことができたとしても、その方が任期中に委員会の中であるいは議会の中でどういう質問を取り上げて、行政がどう動いて形になったか。2期目の選挙に出た際に、実績として何があって何ができて何ができなかった、という見方までは学校教育の現場では教えてもらえない。そういうことですよね。

栗本)はい。

高瀬さん)そこは中立性やはりとの難しさですよね。偏らずに正しい意味を教えるという、そうですよね…。すごく勉強になりました(笑)


これまでお伝えしてきました通り、今回は高瀬ひろみ参議院議員(公明党)にインタビューを行いました。尚、インタビュー中の”こぼれ話”を次ページに掲載しております。

次回は本企画の新シリーズ「横浜市会議員に聞く!」と題して、鈴木太郎横浜市会議員(自由民主党)へのインタビューをお伝えします。配信予定日は5月16日を予定しています。

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