国政政党・会派に聞く!『若者の政治参加』インタビュー1:立憲民主党・中谷一馬衆院議員

取材・対談

Q3 日本における「若者の政治参加・参画」の現状は、既に充分であるとお考えですか。仮に、まだ充分でないとすれば、どのような部分が不足しているとお考えでしょうか。中谷議員ご自身のご意見をお聞かせください。

中谷さん)何より投票率が低いと、政治の話をする人の方が珍しい存在になってしまう現状があるんじゃないかなと思いますね。だから全く(若者の政治参加の現状は)充分ではないと思っています。

栗本)何をしなければいけないとお考えですか?

中谷さん)社会的情勢が不安定で、衣食住が脅かされる、生活が脅かされる国においては当然、投票率が上がります。勿論、政治に参加する有用性に関する教育が進んでいる国も投票率が上がりやすいと思っています。

栗本)『政治に参加する』ことが必要かどうか、重要な物差しになりますよね。

中谷さん)ただ、日本はそのどちらでもなくて、教育もしっかりできていないし、かと言って衣食住は脅かされている状態にも無い。更に言えば、政治の現場に目を当たる様なことがあった時に、ニュースや報道で、切り取られた・編集された映像や文章を見ることが多いと思います。それらは、足を引っ張りあっていて、「こいつら大丈夫か」っていうようなシーンが中心になることが多くありますよね。

栗本)確かに、報道を見ていると、物々しい情景を目にすることも少なくありません。

中谷さん)でも、国会の議論の9割はそんなことやっていないと思うんですよね。そう言う現場を見ることもなく、どうも遠ざけてしまっているイメージもあります。だから僕自身は、やっぱり教育のシステム自体を変えていって、まずは若者が政治に参加する意味、意義をしっかりと感じてもらえるような体制を作らなければならないと思っています。それに加えて、学んだことがちゃんと次のキャリアに活かせるような制度にしなければならないとも思います。

栗本)教育、が根幹ということですね。他には何かございますか?

中谷さん)若者自身がもっと政治に参加参画をしたいと思えるような魅力を発信していかなければならないのかな…。うーん(政治に参加する)魅力、意義、意味を感じられるような取り組みをする必要はあるのかなと思っているんですけど…。私自身がそれを若いうちからやってきているんですが、なかなか壁が高いと思っている感じですね。

栗本)どういった「壁の高さ」ですか?

中谷さん)私は一度中卒で働きに出たんですけど、そういう時の友達っていまだに繋がっているんですね。そういった友達の中には、「一馬の為に投票するよ」って思っている人が多いんですよ。ただ、それって本当は違うじゃ無いですか。

栗本)はい。

中谷さん)本来であれば、例えば社会を良くする為にとか、自分のやりたいこととかやってほしいことを代弁してもらう為に、政治家を送るはずなんですけど、まずそういった感覚そのものが薄いかなと。後は、私とそれだけ仲の良い友達でも「悪い、投票に行き忘れたわ」って言う奴も結構いますし、それくらい(政治が)薄くて遠いものになっているなと言う印象がありますね。

Q4.「若者の政治参加・参画」に際して、政党ないしは政党青年部が果たすことが出来る役割は何だとお考えでしょうか。党ないしは党青年局としての、また中谷議員ご自身のご見解をお聞かせください。

中谷さん)これから先、常に身の回りに政党がある状態を作りたいなと考えています。それはリアルでもバーチャルでもネットでもFace to faceでも、コミュニケーションをしっかりと図ることで、政党・政治家が決して遠く無い存在と認知してもらうことが前提です。

栗本)国民と政党の間の従来の関係とは少し違うかもしれません。

中谷さん)その上で、私達の方からも、ここ(政党)に関わることが必要なんだというようなイベントだったり、勉強会だったり、あるいは会合だったり、そういう機会を設けていきたいと考えていますし、ニュースやメディアとかにもしっかりと発信していって、アウトプットをしていきたいと考えています。

栗本)やはり、立憲民主党さんは非常にそう言う「草の根から」と言うことを重視されていますが、例えばタウンミーティングですとか、それこそ先日のおしゃべり会議であったりですとか、コミュニケーションを非常に重要視されているという印象があります。ただ、一方で、特にタウンミーティングに関しては参加層に年齢の偏りがあるんじゃないかという先入観もあるのですが…。

おしゃべり会議は、立憲民主党の青年局・わかものクラブがはじめて行う、主に高校生のみなさんを対象とした実験的なワークショッププログラムです。

それぞれが持ち寄ったお菓子を自慢したり交換して食べながら、若手政治家を交えて、世の中への疑問や日常の悩みなどをゆるくオイシくおしゃべりできる新しいトーク空間を目指します。

立憲民主党 オイシイ!? おしゃべり会議

中谷さん)立憲だけじゃないんじゃないかなそれ。俺、自民党の学生部にも居たし、共産党のタウンミーティングにも言ったことあるけど、年齢層はうちだけ比較的高齢者が多いと言う印象はない…。

栗本)政治系のイベントが全体的に、学生向けに開催しない限り、参加する年齢が比較的高めということはないですか?

中谷さん)むしろ、俺の感覚でいうとなんですけど、多分まずそもそもタウンミーティングに参加する世代別の人数というのは、(世代別の)投票率に比例する。投票に行くってことは政治に興味があるってことだから。だから、傾向として、年齢層は高くなるっていうのはあると思います。逆に、若者向けにターゲティングでも打ったら若者が集まる、そういう現状があります。

栗本)高齢層が比較的多いのではないか、というイメージがあることは否めません。

中谷さん)その中で地域によっても全然違って、例えばそれが高齢化率が高くなっている地域だと、当然高齢者が集まりやすい。うち(中谷議員)のタウンミーティング来てくれたらわかると思うんだけど、うちのタウンミーティングは高齢者が多いという印象は全くない。平均年齢が都筑区が40歳くらいで、港北も横浜市の中で一番若者の人口が多い地域なので、うちの選挙区に限って言えば、70代80代しか居ないなという印象は全くないね。だから30代40代20代も含めて満遍なくいるな、という印象です。

栗本)良い意味で新鮮な印象がありますね。

中谷さん)だからそれは、基本的に政党だからというよりも地域性の違いが投票率に関連するものなのかなと思いますね。

栗本)今後例えば立憲民主党の青年部の方々が、どう言った方向性で例えば18歳19歳であったり、20代・30代の、支持者獲得に向けてどう言った方向に展開されていくのかなと。何か今後の方針などありましたら、教えて下さい。

中谷さん)今、情報を受信する媒体が年代によって多様化していますよね。40歳以下であれば、スマートフォンやPCで情報取集する人が非常に多くなっているし、逆に言えば50代以上は未だに新聞やテレビで情報を収集する現状があると。

栗本)Webメディアやインターネットへの向き合い方は、その年代間で大きな差がある様な印象があります。

中谷さん)若者に対して、ということで言えば、ネットメディアでの広報、それは記事を書いて、ニュースサイトに掲載するということもあるし、SNSを活用してコミュニケーションを図る、もしくはリアルなイベントをやって高揚するということもあると思う。その年代の人たちが興味関心のある事象に対して、その人たちが使っている分野で企画でコミュニケーションをとっていきたいなと思っています。

栗本)積極的な広報を展開されていくことに重点を置かれているのですね。

中谷さん)無党派層に発信するものと、そもそもうちの政党が好きな人に向かって発信する広報も全然違うので、それぞれのターゲットに応じたものにしていきたいと思います。その人たちが望むような、参加しても良いな、楽しいな、って思ってもらえるような。そして参加した後には政治に対して何か目を向けてもらえる様な活動を積み重ねていった先に、政党としての支持率の向上があると思っていますね。

栗本)ちなみになんですが、今回のおしゃべり会議はどういった経緯であれを開催することに…?

中谷さん)まさに、SFCで准教授をやっていらっしゃる若新雄純というものがいるんですけど、彼はコミュニケーションの専門家で、尚且つ昔からのお友達なんですね。そこで彼に、「若者に参加したいと思ってもらえて、しかも(若者の)満足度が高いようなイベントをやっていきたいんだけど、何か良い案ありませんか」と相談したんです。

栗本)そういった経緯が…!

中谷さん)そしたら、若者もハードルが下がっている状態であったら、政治家と喋ってみたいっていう生態的な感覚はあるんじゃないか、お菓子を食べながら「一人間」として緩やかに喋れるようなことをやってみたら上手くいくんじゃないの、というアドバイスを貰ったんです。それで試しにやってみたら、非常に上手くいったという感じでしたね。

栗本)参加されている高校生の反応をSNSなどで拝見していても、政治に従来から関心のあるような、いわゆる『意識の高い』層ではなくて、本当に様々な方々がいらっしゃていたなと思っていたんです。

政治参加という側面からも、参加者層の幅そのものが、今後更に広がっていってほしいと思っていますが、どういった展開を想定されていますか?例えば、政治に関心の高い、高校生なり大学生なりを囲い込んでいくのか、あるいは「おしゃべり会議」の様なものを横展開をしていくのでしょうか?

中谷さん)コミュニケーションの場を作る為に、意識していることがあります。それは、政治的関心の決して高くない層に向けた、おしゃべり会議のようなもの、2つ目はまさに今言ってくれた政治に興味関心が高い層に対するもの、3つ目はそもそもうちの政党を支持してくれている層に対するもの。これら3軸を平行して行なっていくことが大切だと。それで、既にやったのは無党派に対する緩やかなおしゃべり会議の開催をしたと。

栗本)政治に対する姿勢、あるいは政党に対する姿勢によって、きめ細かく設定を変えていくということですね。

中谷さん)横展開をしていく可能性は十分にあって、5月には「枝野のおしゃべり会議」というのもやろうかなと企画をしている。2つ目の政治に対して興味関心の高い層、うちの支持者ではないけれども、政治への関心が高い人たちとは、一緒に政策を作ってうちの党の政調会長とかに提案してみるという企画が出来ればなと。

栗本)政策提案というスキームは面白いですね。

中谷さん)若者の意見をしっかり届けていく活動をしていって、ひいてはそれら政策を党の政策として打ち出していくことができれば、うちの党としても若者の意思が反映されてより強くなると思う。そして、そのようことに対して理解の深い政党であるということを、やはり若者から認知される様になればいいなと思っている。

栗本)若者の意思が反映されると「より強くなる」という発想は、とても良いなと感じました。

中谷さん)うちの党を支持してくれている層に対しては、現段階では個別でポツポツと点になってしまっているので、「立憲youth」といった名称で、学生部的なものを立ち上げて、一緒に企画を運営してくれるような仲間たちを募れたらいいなと思っている感じですね。

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