代表質問を見れば,合流見送りは適当では?

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立憲民主党と国民民主党間の合流協議が「当面見送り」となり,事実上破談となった.立憲民主党の福山哲郎幹事長が22日付のツイートで「ギリギリのラインまで検討し、党内では合併を了とする所まで来たが、国民とは合意に至らず残念。」と述べている様に,双方の歩み寄りがあっても尚,両党の政策やスタンスには明確な溝があったという事であろう.

本日(1月22日),衆院本会議で立憲民主党・枝野幸男代表や国民民主党・玉木雄一郎代表による代表質問が行われた.仮にも,つい先日まで合流に向けた協議が進められていた両党である事を鑑みれば,本来的には代表質問の(政策的な)内容は近似するはずであろう.しかしながら,実際にはある程度の開きがあったとの指摘は免れない.

立憲民主党・枝野幸男代表の代表質問について

立憲民主党・枝野代表による代表質問が

  1. 「桜を見る会」をめぐる問題
  2. 「桜を見る会」に関連する公文書管理
  3. 閣僚等についての問題
  4. 政権ビジョン
  5. 経済財政
  6. 社会保障・教育子育て
  7. エネルギー政策の転換
  8. 外交・安全保障
  9. 結び

という構成で,全体的に追究型の代表質問であったと指摘出来るだろう(立憲民主党:【衆院本会議】施政方針演説に対する代表質問 枝野代表が安倍政権に代わる政権の選択肢示す より).

そして,同質問では「理念的な文言」が目立った事も印象に残っている.いわば,立憲民主党の理念のエッセンスは充分に盛り込まれている一方で,そのエッセンスを具体的な政策として,換言すれば「財源裏付け」や「日本特有の条件との擦り合わせ」がなされた政策の提示は,必ずしも多くはなかったと捉えている.

無論,「桜を見る会」や,IRをめぐる収賄疑惑は野党として徹底的に追及すべきものであることは言うまでもない(付言すれば,昨年の通常国会で盛んに取り上げられていた厚労省の統計問題,あるいは森友・加計学園の問題も解決したとは言えないだろう).ただ,野党第一党として(政権交代を志向するのであれば)現政権に代わりうる具体的な政策を示すことは欠かすことができないのではないか.

国民民主党・玉木雄一郎代表の代表質問について

一方,国民民主党・玉木雄一郎代表による代表質問は,次の様な構成であった.

  1. はじめに IR汚職
  2. 86万人ショック
  3. 子ども
  4. 女性
  5. 若者等
  6. 台風・豪雨被害にあわれた方へのお見舞い
  7. 環境
  8. 農業
  9. 経済
  10. 外交
  11. 憲法
  12. 主体的な外交の展開に向けて
  13. おわりに:文明論の転換が必要

全体を通して,理念よりも,具体的なトピックを列挙する形で代表質問が行われていたことが印象的である(国民民主党:【衆院本会議】「国民にお詫びし、疑惑まみれの IR事業を凍結すべき」代表質問で玉木代表 より).

少なくとも「具体性を伴った政策の提案が行われているか」という尺度においては,国民民主党が一歩,二歩先を行っているとの評価ができるのではないだろうか.また,子ども(子育て世代)や女性,若者といった,より社会的包摂が求められている属性を持つ人々について,積極的に言及をしていたことは,特筆すべき点であろう.

全文を読めば,その姿勢の違いは明らか

詳細な政策・スタンスの差異については,上記リンク先から代表質問全文を参照されたい.しかし,これまで若干量ながら触れてきた両党の政策・スタンスの差異を鑑みれば,過日の「両党合流の見送り」は適切な判断だったのではないか.私自身も,健全な野党の出現と長期的視点での二大政党制の実現には強く期待している.その為には,短期的視点の拠った党利党略,当選落選を天秤に欠けるのではなく,政策やスタンスが一致し,足腰の鍛えられた政党がまず以て登場することが必須であろう.

今回の合流の見送りが,足腰の鍛えられた政党の出現の端緒となることを,心から切望している.

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